日曜日, 10月 01, 2006

はじめての高速2ケツ

 昨日、「四十歳の童貞男」を見に岸和田まで行ってきた。 この映画は、関西では岸和田の映画館でしか上映されない。しかもレイト・ショーしかない。岸和田は、我が家からかなり遠い。加えて、わが夫Dr.運送屋は今年晴れてバイク免許取得3年目を迎えた(詳しくはこちら)。したがって、ごく自然な成り行きとして、高速道路を利用することと相成った。

 わたくしことベンリィマダムにとって、バイクでの高速道路走行は生まれて初めての経験だ。いざ走行するとなると、なんだかとても怖くなってきた。まずは服装からきちんとしようと考え、皮ジャンでしっかり上半身を防護し、くつもはき慣れた皮のスニーカーを選択し、ここ最近ずっと倦厭していたグローブも装着した。皮ジャンを着てバイクに乗るのは初めてだ。鏡をみたら、なんだか上半身が『北斗の拳』みたいにごつくなり、顔と上半身が全く別の人間みたいで、少々気味が悪くなった。このことが、わたしの不安をさらに増長させたことはいうまでもなかろう。以前せっかくタンデム・ベルトをDr.運送屋に買っていただいたのに、この時はすっかりその存在を忘れていた。このことは、後に大変な後悔の念を生むこととなる。

 このたびのルートは、長柄から阪神高速に乗り、助松から湾岸線に出て岸和田まで行くコースに決められた。自宅を出てしばらくは見慣れた道を通り、いよいよ高速道路の入り口が見えてきた。料金はわたしが皮ジャンのポケットにしまい、料金所で渡す手はずになっていた。いざお金を取り出そうとしたら、なかなか出てこない。グローブしているし、皮ジャンは身動きが取りにくい。あゎあゎと焦りつつも、なんとかつつがなく料金の支払いを終えた。

 料金所を越えると、鬼のようなカーブが連続していた。しかも、高速道路だから、スピードが大変速い。ひぃぃぃぃっ、びぇぇぇぇっと心の中で絶叫しつつ、恐怖と戦った。前からくる風がとてつもなく強い。前に居るDr.運送屋の体の影になっている所は比較的風圧の影響が少ないのだが、彼からはみ出してしまう腕とか膝下の部分にまともに風があたり、あおられそうになる。タンデム・ベルトを装着しなかったことが悔やまれてならなかったが、今更どうしようもない。Dr.運送屋のハラとベルトの間の溝状の部分に手をしっかりと潜り込ませ、必至で耐えた。

 そのうち、前からの風に加え横風が大変強くなってきた。さらに、風の音がものすごくでかくて、恐怖感を必要以上にかりたてる。途中、Dr.運送屋が片手で景色を指さし、後ろに少し振り返って「夜景!」と叫んだ。このときは「前向いてくれぇぇぇ!」というだけで精一杯で、景色を楽しむ余裕などなかった。でも湾岸線に入るころになると、次第になれてきたようで、不思議な工場の夜景群を『ブレード・ランナー』に出てきそうな景色だ、などど鑑賞するゆとりも生まれてきた。

 そんなこんなで、岸和田に到着した時は、すでにへろへろの状態になっていた。しかし、『四十歳の童貞男』は大変楽しかったし、帰りは堺のてんぷら屋「大吉」でおいしい天ぷらも食べ、大変満足して帰路についた(帰りは下道)。

 三十路を過ぎての高速2ケツデビューは、怖かったけれど大変楽しい思い出となった。人生まだまだ楽しいことが残っているのだな、と感じた一日であった。

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