月曜日, 12月 19, 2005

ガキ帝国

 うちのマンションはファミリー向け賃貸である。つまり、子供が多い。子供は公園で遊ぶもの、という考えはもう古い。最近の子供はマンションの駐車場で遊 ぶ。管理会社の再三にわたる「駐車場での遊戯禁止」通告を完全に無視して、休日などは親子が楽しく駐車場でボール遊びをしている。

 一度など、子供がDr.運送屋のCD125Tの上に靴のまま登り、シートに立って遊んでいた。子供保護が叫ばれる昨今の状況を鑑みると、万が一子供が落ちて怪我でもしたら、たとえわたしたちがしかるべき場所へバイクを駐輪していたとしても、責任も追究されかねない。

 だからといって、駐輪場へバイクを止めないわけにはいかない。だってそれは当然だからだ。

  本日、午後の散歩から帰ってきたDr.運送屋とベンリィマダムは、信じられない光景を目の当たりにした。うちのCD125Tが倒されていたのだ、しかも 右側に。倒れたCD125Tは、右横の原付を押し倒し、原付はそのまた右にあったうちのブラックバードへよりかかっていた。重いブラックバードがドミノ倒 しをなんとか止めていた。

 Dr.運送屋の額に怒マークが浮き上がった事はいうまでもない。バイクが右に倒れるなど、自然現象としてあり 得ようか。バイクの無惨な光景を目の当たり にした瞬間、いつも駐車場で激しい遊戯を展開しているお子様たちの顔が脳裏をかすめた。しかし、法治国家で成熟したオトナとして生活しているわたしたち は、推定無罪の原則を貫かねばならぬ。しかも子供は未成年だ。

 怒りの鉄拳をぶつける場所などあろうはずもない。Dr.運送屋はわなわなと震えながら、ひとつひとつバイクを起こしていった。ブラックバードに倒れかかっている原付を起こした瞬間、ブラックバードが本来の位置へもどろうと自らの車体を左へ傾け始めた。

 その瞬間わたしは無意識にブラックバードを支えようとした。これが間違いだった。次の瞬間、わたしは地面に転がっていた。そして、右の膝小僧に激痛を感じていた。かわいそうなわたしの膝小僧は、血まみれになっていた。

 左に傾き始めたブラックバードのサイドスタンドが地面に当たった衝撃で、中途半端に支えようとふんばったわたしは、はじき飛ばされてしまったのだ。

 責任の所在が曖昧であるのは、わたしが最も嫌う事だ。じわんじわんと痛む膝小僧をさすりながら、わたしは思う。いつか、駐車場のバイクが子供の玩具と化している現場を押さえ、みっちり説教してあげたい。

 

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